Short Ver.【35th Concert Tour 2024 〜Coral 35〜】東京公演ライブレポ1st

辛島美登里オフィシャルサイト&公式ファンクラブGreen Fields つぶあん

2024/05/30 12:00

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 この春、名古屋、兵庫、東京を巡る「辛島美登里 35th Concert Tour 2024~Coral 35~」が開催されました。35周年の祝祭感が特別だったのはもちろん、それ以上に心躍ったのは、このツアーが、『colorful』以来約10年ぶりにリリースされたニュー・アルバム『Coral』をあますところなく届けてくれる場となったこと。大切に紡いできた「歴史」を慈しみながらも、それに甘んじることなく、「今」を映す音楽を奏で、「未来」を提示するという、実に辛島さんらしいエネルギッシュなツアーでした。



 サポート陣は、お馴染みの伊藤ハルトシさん(ag、eg、vc)鳥越啓介さん(eb、cb)はたけやま裕さん(perc)と、今回初参加の土屋佳代さん(pf、k)。そして、バンマスは、『Coral』のサウンド・プロデューサーでもある十川ともじさん(k) 。辛島さんがよく、「デビュー前の私を知る人」として語る人物です。このいわば「ポプコン同期組」の邂逅が、「Coral」ツアーの強固な礎となったことは言うまでもありません。さらに特筆すべきは、辛島美登里デビューのキー・ウーマンとも言える永井真理子さんが、『Coral』に参加し、ツアー全箇所にもスペシャル・ゲストとして登場したこと。長い時間を経て花咲くことになったおふたりのフレンドシップは、きっと今も温かい余韻として多くの人を幸せにしていることでしょう。ここでは、GW初日の4月27日、大井町きゅりあん大ホールで行われたファイナルの模様をお届けします。

    
    

 本人の声での1ベルのアナウンスが終わると、会場にはいつもの静けさが漂いました。客電が落ち、青く浮かび上がる舞台にメンバーがスタンバイ。すると、小さな宇宙がキラキラと回り出すような、可愛くて、伸びやかなオーバーチュアが響きました。楽器たちの話声が軽やかに飛び交います。そこに波の音。かと思えば、何やらポコポコポコというくぐもった音が。そう、そこはいつしか海の底になっていたのです。



 その海に潜ってくるように、白いシンプルなドレスを身にまとった辛島さんが登場。「人魚の恋~風になって~」が始まりました。『人魚姫』を題材にした2022年の「冬の絵本」で初披露された曲。ファンタジックな世界観を、パステル色のライトが彩っていきます。変拍子が絡み合う複雑な曲の構造は、人魚姫の複雑な心境を表しているのでしょうか。でも、辛島さんが歌うと不思議とナチュラル。作り手としては至極必然的な流れなのでしょう。「未来へ」というラストで、天に手を差し伸べた辛島さん。このツアーのメッセージがそこに集約されている気がしました。


 「東京。ファイナルとなりました。辛島美登里です」とにこやかに挨拶をして、35周年の感慨を語ると、辛島さんはまずみなさんに心からの感謝を伝えました。そして、

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文:藤井美保   写真:加藤千絵(CAPS)
*無断転載を禁じます。
この記事は2024/5/30より6ヶ月間ご覧いただけます。

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