【Short Ver.】夕涼みコンサート2024〜夏だ!浴衣でGO!!ライブレポート《1st Stage》

辛島美登里オフィシャルサイト&公式ファンクラブGreen Fields つぶあん

2024/09/14 18:00

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 濃いグレーの雲の下に、気のせいか晴れ間ものぞいているように感じる微妙な色合い。それでも、あの全面ガラスから見える「空」は格別でした。「辛島美登里 夕涼みコンサート2024~夏だ! 浴衣でGO!」は、今年も鎌倉プリンスホテル・バンケットホール七里ヶ浜で。全国を翻弄した気まぐれすぎる台風10号には恨み言のひとつも言いたいと思っていたのですが、逆光に浮かぶいつものピアノのシルエットを見たら不思議と心も落ち着き、今日という日のこの「今」をめいっぱい大切に感じよう、と、シンプルに思えたのでした。


 心なしか空が明るくなってきたなと思っていたら、客席後方のドアから晴れやかな声とともに辛島さんとサポート陣のおふたりが入ってきました。お馴染みの伊藤ハルトシさん(ag,vc)は、浴衣に帽子という粋なスタイルでチェロを抱えながら。「夕涼み」初参加の森丘ヒロキさん(pf,k)は、スモーキーな紺に燕脂の帯を渋く着こなして。辛島さんは白地に藍の八重菊の総柄を、黄色い帯でちょっと甘めにコーディネイト。ランダムに配された花の中心の空色と帯留がマッチしていて素敵です。
 

 

 ステージに上がった辛島さんは、まず客席を眺め、予想以上のご来場に感無量の様子。「お足元の悪い中、そして、精神的に戸惑いや不安の多い中、決心してお越しくださいまして本当にありがとうございます」と、心よりの感謝を述べました。「聴いてもらいたいとついつい我儘を通した」というその言葉には、アーティストとしての本音と苦悩が入り混じっています。正直な辛島さんに、「いやいや、みんな同じ穴のムジナですから」と「エスポワール」風に言いたくなったのは、私だけではないでしょう。
 


 さて、ここからは「夕涼み」恒例のみなさんからのリクエストで綴るプログラムがスタートしました。事前に寄せられた中から、意外と天の邪鬼な辛島さんのどこかに引っかかった曲たちが、今年もわんさか登場する模様。B'zまでもが飛び出した昨年の「実績」があるので、今回そのチャレンジャーぶりがどこまで飛躍するのか、みなさん楽しみにしつつ内心ちょっとハラハラだったかもしれません。 


 





 1曲目は、Coccoさんの「強く儚い者たち」でした。アルバム『12K』の際ファンクラブツアーでロンドンに行かれた方が、帰りの飛行機で聴いたという思い出メッセージに、辛島さんも懐かしそうな表情を浮かべます。ハルトシさんと森丘さんのアイコンタクトで始まったのは、夏にぴったりのレゲエ風サウンドでした。少し歪ませたアコギ、時折ジャズ風の彩が加わるピアノの会話が、なんとも気持ちいい。その昔JALのハワイキャンペーンのCMに使われていたこともあり、爽やかな海の歌とばかり思い込んでいたのですが、じっくり歌詞を味わううち、怖いくらい人間のサガを描いている曲と知りました。「タッチは優しいけれど中はエグい」と、辛島さんがこの曲を紹介した理由に納得。こんな発見も「夕涼み」ならではです。


 お名前を読むたびに、「いらっしゃるかしら?」と客席を見渡す辛島さん。見つけるとみなさんの視線もそこに集中。自然と笑顔もこぼれ、その場にいる者同士の距離が近くなっていきます。浴衣姿のその方のリクエストは「逢いたくて」でした。「歳を重ねるごとに、人生の歩みが進むごとに共感の度合いが増す曲」というメッセージに、みなさん静かにうなずかれています。


 もう一つは、…

 

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文:藤井美保   写真:加藤千絵(CAPS)
*無断転載を禁じます。
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