Short Ver.辛島美登里Christmas Concert 「冬の絵本2022～feat.『人魚姫』～」〈1部〉

　辛島さんのクリスマス・コンサートと言えば、パッとキリスト品川教会グローリアチャペルが思い浮かぶくらい、そこは馴染み深い場所になりました。2020年から連続３度目。2022年12月17日、ようやく収容人数100%で「Christmas Concert 冬の絵本2022～featuring『人魚姫』～」が開催されました。
　この日東京はどんよりとした曇り空。でも、開演前のステージにぽつぽつと灯る光を見ると、毎度のことながら何か異次元の温かさに包まれる気がします。前年、前々年より、客席は随分とリラックスし、華やいだムード。選んでライブに足を運んだ一人ひとりの前向きな意思が、厳かなチャペルの空気に楽しげな波動をもたらしているように思えました。いつものように配られた辛島さんの手描きイラスト入りプログラムの、「今年もこの季節がやってきました　あなたに会えてただただ幸せです」というメッセージが胸にしみます。会える幸せを噛みしめながら、そして、『人魚姫』って最後泡になっちゃうんだっけ？　などと思いながら、一部の始まりに心躍らせました。

　サポート・メンバーはもうお馴染みの、扇谷研人さん（pf、k）、伊藤ハルトシさん（vc、g）、鳥越啓介さん（cb、eb）、はたけやま裕さん（Perc）。それぞれが役柄に合わせた衣装での登場です。ひときわ目を引いたのがハルトシさん。なんと金髪のロングヘアウィッグ姿。意表を突かれていると、舞台袖からコツコツとハイヒールを響かせて辛島さんが現れ、「こんばんは！　楽しんでいってくださいね」というにこやかな第一声で「Keep On “Keeping On”」が始まりました。

　ピアノとチェロとコントラバスに爽快感のあるベルの音が混じり、オープニングから耳に贅沢なアンサンブルです。辛島さんの伸びやかな歌声を、観客のみなさんがかいなを広げて受け止めているのがわかりました。にしても、何事もなくチェロを弾くハルトシさんが面白すぎます。「また無茶振りしましたね」と辛島さんに言いたくなりました。

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　文：藤井美保   写真：加藤千絵（CAPS）　＊無断転載を禁じます。